真っ青な空と強い陽射しに包まれた、真夏の札幌。
クーラーの効いた書斎にこもり、ヒバの甘い香りがほのかに漂うサウナ室。
気兼ねのない休日の昼下がり、一人静かにグラスを手に取ります。
ドメーヌ・ブノワ・シュヴァリエのヴォーヌ・ロマネ 2022。
ヴォーヌ・ロマネという聖地
ブルゴーニュの中でも「神に愛された村」と呼ばれるヴォーヌ・ロマネは、わずか約200ヘクタールの小さな村です。
豊かな粘土石灰質土壌、穏やかな斜面、そして複雑なミクロクリマ(微気候)が相まって、世界でも類を見ない繊細で気品あるピノ・ノワールが育まれます。
その滑らかな口当たりと奥行きある風味は、世界中のワイン愛好家を魅了してやみません。
ドメーヌ・ブノワ・シュヴァリエ
この地に代々続くブドウ農家の3代目、ブノワ・シュヴァリエ氏が2019年に立ち上げた若きドメーヌ。
有機栽培を採用し、収穫は丁寧な手摘み。選別は畑で行われ、果実の品質を重視しています。
醸造では100%除梗を行い、ブドウ本来の果実味を損なわないよう、果粒の構造を保ちながら処理されます。
発酵には畑に由来する自然酵母(ネイティブイースト)を使用。発酵温度は幅広く管理され、多様な酵母が働くことで複雑味を引き出します。
発酵中はルモンタージュ(液体の循環)を行い、終盤に軽くピジャージュ(果帽を沈める操作)を加えることで、糖分とタンニンを適切に抽出します。
熟成は18か月、新樽から3年樽までを使用し、新樽比率は50%以下に抑えることで、木の香りを穏やかに保ちつつ、ワインに適度な骨格を与えています。
テイスティング
ワインは澄んだルビー色。
グラスからはラズベリーやレッドチェリーなどの若々しい赤系果実の香りが広がります。
そこにほんのりと甘いスパイスのニュアンスが重なり、香りに奥行きと落ち着きを与えています。
口に含むと非常に滑らかで端正な印象。
柔らかな果実の甘み、上品な酸、そしてシルキーなタンニンがバランス良く溶け合い、整った味わいを構成します。
酸とタンニンは穏やかに調和しながら、静かな余韻を残します
テイスティング
本日のお供は、ポークタンのサラミと塩漬けオリーブ。
サラミのしっとりとした舌触りとスモーキーな香り、そしてオリーブの塩味が、ワインの若々しい果実の甘みを引き立ててくれます。
過度な主張をせず、ワインの繊細さに寄り添う控えめなペアリングです。

時間の流れがゆっくりと感じられる夏の午後。
ワインの聖地から届いた一杯のワインが、日常の中に豊かさをもたらしてくれました。
次はどんな景色の中で、どんなワインと出会えるでしょうか。
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