シャンボール・ミュジニー:繊細で華やかなワインとの対話

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ブルゴーニュ地方の北部、コート・ド・ニュイのほぼ中央に位置する村、シャンボール・ミュジニー。 ヴージョとモレ・サン・ドニという2つの銘醸地に挟まれながらも、独自の個性を放つこの小さな村は、「ブルゴーニュで最もエレガントな赤ワインを生む村」として知られています。

土地柄が生む、シャンボール・ミュジニーの個性

シャンボール・ミュジニーの畑は、標高約250〜300mの東向き〜南東向きの斜面に広がっています。土壌は石灰岩を主体とした泥灰質で、水はけがよく、過剰な肥沃さがありません。このため、ブドウはゆっくりと成熟し、果実味よりも繊細な酸とミネラル感、そして華やかな香りが際立つワインに仕上がります。

冷涼な気候と風通しのよい地形も相まって、ここで生まれるピノ・ノワールは、力強さよりもしなやかさ、華やかさ、軽やかさが印象的です。

ジュヴレ・シャンベルタン、ヴォーヌ・ロマネとの違い

同じコート・ド・ニュイの村でも、ワインの性格は大きく異なります。たとえばジュヴレ・シャンベルタンは力強く男性的、ヴォーヌ・ロマネは気品と深みを感じさせる官能的な味わい。それに対して、シャンボール・ミュジニーは可憐で軽やかな優雅さが持ち味です。

フランソワ・フュエ シャンボール・ミュジニー 2022

数日前、初めて開けたフランソワ・フュエのシャンボール・ミュジニー 2022。
グラスから感じたのは控えめないちごの香りと、小さな花のような可愛らしさでした。
口に含めば、柔らかく果実のほのかな甘さが広がり、そこに軽やかな酸味が輪郭を与えるような印象。
奥ゆかしく繊細で、可愛らしい一杯でした。

花が咲き、ワインが語り始める

今回、サウナで温まった後に再びいただいてみました。
驚いたことに、まったく違う表情を見せてくれたのです。

いちごやラズベリーといった赤い果実の香りに加えて、バラやスミレのようなフローラルなアロマが一気に前面に。以前は奥ゆかしく控えていた香りが、今回は自ら語りかけるようにはっきりと感じられました。
味わいも印象が変わり、控えめな果実の甘みと、キレのある酸、最後にまろやかなタンニンの渋みがバランスよく口の中に残ります。

ワインは、飲むタイミングや体調、環境でまるで別の姿を見せてくれます。今回のように、ととのいの後の静かな時間にゆっくり向き合うことで、その変化に気づくことができました。
時間をかけて少しずつ向き合ううちに、ワインが自ら語りかけてくれる。そんな楽しみ方も、ワインの魅力のひとつかもしれません。

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