コート・ド・ニュイの北から

ワイン

この写真に並んだ6本のボトルを手がかりに、これから北から南へ、コート・ド・ニュイを巡る小さな紀行を始めたいと思います。

きっかけは、ある店で出会った一杯のワインでした。グラスに注がれていたのは、マルサネ・シャンペルドリ。ちょうど抜栓から1週間が経過した状態で、そこには今までに感じたことのない、不思議な調和がありました。蜜のように甘美なニュアンスと、ピュアな果実味が同居していたのです。

驚きとともにすぐにボトルを買い求め、自宅で抜栓すると、今度は全く違う顔が現れました。グラスから立ち上るのは、森を思わせる湿った土や草、涼やかな朝霧のニュアンス。ただ、1週間経っても2週間経っても、あの時の「蜜」の印象が再び現れることはありませんでした。

けれども、ピュアな果実味と大地を思わせる土や草の要素がひとつに融合していく過程は、まさに昇華とも言える変化であり、ワインの魅力を新たに教えてくれる瞬間でした。ワインは時間の経過によって、こんなにも異なる姿を見せるのか。そこから「北から南へと順に辿ってみたい」という思いが芽生えたのです。

紀行のポリシー

この紀行では、ワインを「比較する」ことを目的としません。
それぞれのテロワールが持つ個性を一本ずつ向き合いながら楽しむ──その積み重ねの中で、結果として並列的に綴られるブログを目指したいと思います。

今回のラインナップ

今回、旅の入り口として並んだのはジャンテ・パンショの6本です。

  • Marsannay 2022
  • Marsannay “Champs Perdrix” 2022
  • Fixin Entre- Deux Velles 2022
  • Gevrey-Chambertin Vieilles Vignes 2021
  • Gevrey-Chambertin “Les Evocelles” 2015
  • Gevrey-Chambertin Cuvée Edmond 2022

まずは北端のマルサネから、フィサン、そしてジュヴレ・シャンベルタンへ。村の個性や畑の表情がどのように移り変わるのか、少しずつ追っていきたいと思います。

次回予告

次回は、昨日開けた マルサネ 2022 ジャンテ・パンショ から。
繊細な果実味と、ハーブを思わせる清涼感を入り口に、マルサネという村を少しずつ探ってみたいと思います。

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