レバーパテとパン。静かな夜に寄り添うワイン。
静かな夜、木の温もりに包まれた空間で、一本の赤ワインを開けました。
ニュージーランド、ホークス・ベイの老舗ワイナリー「Te Mata Estate(テ・マタ・エステート)」が手がける “Alma(アルマ)” Pinot Noir。
グラスに注ぐと、濃く澄んだルビー色が映え、赤いベリーとバラの香りがふわりと立ち上がります。
ニュージーランド・ホークスベイというテロワール
ニュージーランド、北島の東岸に位置するホークス・ベイ。
太平洋からの風と日照量に恵まれたこの地は、昼夜の寒暖差が大きく、果実に凝縮感と酸をもたらします。
Almaに使用されるピノ・ノワールは、標高のあるテ・マタ・ピーク周辺に広がる石混じりの土壌で育ちます。
この地質は水はけがよく、根が地中深くまで張ることで、果実に複雑さとミネラル感が備わります。
テ・マタ・エステートとは
創業1896年、ニュージーランド最古のワイナリーのひとつ。
自社畑からのブドウのみを用い、伝統と革新のバランスを大切にしながら丁寧な醸造を続けています。
“Alma”は、創業家のルーツであるスコットランドにちなんだ名を冠する、特別なピノ・ノワールです。
テ・マタ・エステートでは、収穫はすべて手摘みで行われ、発酵も小さなオープントップの発酵槽で丁寧に管理されています。
熟成にはフランス産オーク樽が用いられ、その木樽も自社で選定・管理。
ブドウの個性を損なわないよう、過度な抽出を避け、繊細な風味を大切にしています。
テイスティングと余韻
深く澄んだルビー色に、ふわりと立ち上がる赤い熟したベリーとバラの香り。
最後にほんのりミントのような清涼感のある香りが残ります。
口に含むと、熟したベリーのふくよかな果実味とともに、きれいな酸と柔らかい渋みが広がり、余韻にはかすかにハーブの気配が心地よく残ります。
この日のお供には、しっとりとしたレバーのパテに、ライ麦のバゲット、酸味が心地よいきのこのピクルス。トリュフパンの芳香と、ラムレーズンパンの甘やかさも加わり、ワインの深みと響き合います。

レバーのコクに果実の甘みが寄り添い、きのこの酸味とハーブの香りが絶妙にリンク。
パンの香ばしさがアルマの奥深さを引き出してくれました。
熟度とエレガンスの絶妙なバランス。
ピノ・ノワールの魅力を、あらためて感じさせてくれる一杯でした。
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